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礼服(喪服) 値段が高い商品と安い商品の違いとは?

礼服(喪服) 値段が高い商品と安い商品の違いとは?

冠婚葬祭に使用する略礼服は、店頭で高い物は7万~10万円、安い物であれば1万~2万円ほどで販売しています。

そもそも、この値段の違いを皆さん知っていますか?

今回はこの値段の違いを説明したいと思います。

少しマニアックな内容で、お店の店員さんにチラッと言ってみると「このお客様、知っているな・・・」と思われるような内容に触れていきたいと思います。

 

※以前に「メンズ礼服・喪服の選び方」というコラムを書かせていただきました。

その内容と一部重複する内容がございます。

礼服(喪服) 値段が高い商品と安い商品の違いとは?

略礼服とは・・・

略礼服(=略礼装)とは、礼服の一種で一番下の格となりますが、結婚式やお葬式など幅広い用途に着用できる衣装となります。

慶事は新郎新婦、新郎新婦の両親以外であれば着用可、弔事は喪主以外であれば着用可なオールマイティな衣装となります。

(※衣装は格を合わせることが大切ですので、略礼服がふさわしくない場合もございますのでご注意ください)

 

結婚式などの慶事・・・ネクタイを白やシルバーグレーなどを使用して、ポケットチーフも差して華やかな装いにします。

チーフと同色のベストを使用すると、よりフォーマル度が高まります。

通夜や葬儀などの弔事・・・ネクタイは黒(通夜の場合はダークグレーでも可)、チーフは使用しません。

ベストを使用される場合は黒のベストを着用します。

 

以上を踏まえながら、順に説明いたします!

 

値段の違い①生地

ビジネススーツでもそうですが、略礼服の場合でも生地のクオリティによって値段に影響があります。

 

1.ウール100%生地

やはりポリエステル素材やポリエステル混素材よりも、ウール100%の素材の方が価値があり、ポリエステル100%商品と比較した際に、やはり生地の手触りや「肉(生地の厚み)感」が違います。

また実用面では、ウール100%の生地は、シワになりやすいのですが、逆にシワが回復しやすいのも特徴となります。

(ポリエステル商品は、自然にシワが回復することはほぼありません)

 

2.ブランド生地(国内生地)

有名生地メーカーが作った生地は、やはりそれなりのクオリティがあります。

国内メーカーの有名どころでいうと、「御幸毛織」が筆頭でしょうか。

愛知県一宮市の老舗生地メーカーで、国内屈指の黒の濃さと生地質を兼ね備えたハイスペックな生地となります。

 

2.ブランド生地(海外生地)

略礼服は日本独自の衣装ですが、黒の生地は海外の生地メーカーでも生産されています。

有名な生地メーカーは、E.Zegna社(ゼニア社)の生地です。

言わずと知れた超有名な生地メーカーで、全国の百貨店のほとんどに直営ショップがテナントとして入っています。

ゼニア社の生地で作られた礼服は10万円前後、縫製仕様などによっては15万円ほどする場合もあります。

左袖口、又はジャケットの内ポケットの下にこのような「織ネーム」が付いています。

 

3.タキシードクロス生地(又はライトタキシードクロス生地)

高級礼服用に織られたフォーマル生地となります。

黒の色の濃さが最大の特徴となります。

また毛埃などが付きにくくなるよう静電防止機能が付いているため、表地の混用率が「ウール90&~99% その他繊維1%~10%」と表記されております。

値段の違い②黒の濃さ

礼服特有の色の濃さも値段に影響があります。

これは上記の「値段の違い②生地」にも関係してくる話で、良い生地は黒の色も濃いことが一般的です。

ここでは「黒の染め」について書いていきます。

※下に下がるほど価値が高くなります。

 

1.ブラック加工・・・生地を黒く染色する手法

2.スーパーブラック加工・・・深い黒色に染色する手法

3.ウルトラブラック加工・・・スーパーブラック加工よりもさらに深い黒色に染色する手法

4.エキストラブラック加工・・・ウルトラブラック加工よりもさらに深い黒色と艶を出す染色手法

 

ちなみに、「1.ブラック加工」の商品と「4.エキストラブラック加工」の商品をそれぞれ着て並ぶと、前者は濃紺や濃いグレーのように見えます。

それほど黒の色が違ってきます。

お店などの屋内で且つ近い位置から見比べるとさほど違いを感じませんが、屋外や離れたところから見るとかなり黒の色が違ってきます。

お店の店員さんのいう「良い礼服は黒の色が違います」というセールストークはここからきています。

値段の違い③縫製国

どこで縫製するかでも、当然値段が違ってきます。

日本国内での縫製は高いということは皆さんもご存じではないでしょうか?

日本のアパレルでは、現在様々な国で縫製したものを日本へ輸入していますが、重衣料(スーツなど)では以下の国が多いと思われます。

中国・ベトナム・インドネシア・ミャンマー・カンボジア・インド など

海外縫製のレベルは年々上がっており、現在では「海外縫製⇒質が悪い」とは言い切れません。

国内工場でも「工員数減」「高齢化」などでしっかり仕事が出来ない工場もあります。

海外工場では、日本の技術者が現地で指導していることもあり、かなりの縫製技術を持つ工場もあります。

値段の違い④縫製仕様

どこで縫製するかも値段に影響がありますが、どのように縫製するかも、当然値段に影響してきます。

 

1.台場仕様(本台場仕様)

ジャケットの内ポケットを補強の意味もありますが、表生地を多く使用して手間もかかるため、高級礼服の仕様となっております。

ちなみに「切り台場仕様」というものもあります。

これは内ポケットのポケット口のみに表生地を使用する仕様です。

 

2.パイピング仕様

縫い代の部分を覆う仕様です。

縫い代がそのままですと見た目の印象も良くないため、手間を掛けて行う仕様の1つです。

 

3.本切羽仕様

袖口についているボタンを実際に留めれるようにする仕様です。

ほとんどの礼服は、袖口にボタンを2つ又は3つ付けて、ミシンでボタンが留まっている風に仕上げています。(ミシン切羽)

本切羽は、実際に留めたり外したり出来るため、オーダーなどによくみられる仕様です。

 

その他ここでは書ききれない仕様がありますが、一般の方でも見てわかるのはこの3点ではないかと思われます。

値段の違い④縫製仕様(余談)

アパレル関係者でも見ただけではわからない仕様も多々ありますが、1点だけ紹介しておきます。

 

フル毛芯縫製(半毛芯縫製)

毛芯とは、ジャケットの正面部分の表地と裏地の間に挟まっている芯地のことです。

これがあるとないでは、耐久性にかなり違いが出てきます。

梅雨時期など、湿気がある際にスーツの襟部分がデコボコになっていませんか?

この毛芯があると、湿気を吸収する役割があるので、手入れが楽になります。

フル毛芯はジャケット正面部分(胸部分からジャケットの裾まで)、半毛芯は胸部分に芯地が入っており、高級スーツや礼服にはほとんど入っております。

ただデメリットは重量です。

軽さを強調したいスーツや礼服、ジャケットなどには”あえて”入れていない場合もあります。

この”あえて”入れていない縫製仕様の商品も、恐らく高額に部類する商品ではないでしょうか。

(たとえば、直輸入のインポート品など)

まとめ

いかがでしたか。

礼服といっても、ピンからキリまで商品があり、その中からご自分の目的に合った商品を見つけるのも一苦労です。

これからも少しでも役に立つ知識をコラムに書いていく所存です。

最後までお読みいただきありがとうございました!